2023年、ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)においてプラチナ仕様リミテッド・エディション(5308P-010)が世界初公開された5308モデルが2025年、パテック フィリップ現行コレクションに登場しました。小型化とエネルギー効率における真の技術的壮挙であるこの自動巻カドラプル・コンプリケーションはミニット・リピーター、2つの新しい特許機構を備えたスプリット秒針クロノグラフ、瞬時日送り式窓表示永久カレンダーを統合しています。最適化されたパフォーマンスを誇る新しいキャリバー R CHR 27 PS QIを収めたエレガントなホワイトゴールドのケースはオープンワークを施したラグを備え、アイスブルー・ソレイユの文字盤を配しています。
2008年、パテック フィリップは、現行コレクションとして5207モデルを発表し、グランド・コンプリケーションにおける卓越した自社技術を今一度立証しました。これはミニット・リピーター、トゥールビヨン、および2件の技術特許(キャリバー R TO 27 PS QI)で保護された瞬時日送り式窓表示永久カレンダーを組み合わせた革新的なタイムピースです。モダンなデザインにスポーティーなタッチを加えたこの腕時計は、毎日着用できるレギュラー生産の新しいタイプのグランド・コンプリケーションとしての最初のモデルでした。
2011年、マニュファクチュール パテック フィリップは、ミニット・リピーター、シングルプッシュボタン・クロノグラフ、および瞬時日送り式窓表示永久カレンダーを組み合わせた自動巻時計5208モデルを発表することにより、これら並外れたタイムピースの武勇伝を継続しました。パテック フィリップのトリプル・コンプリケーションとして初めてクロノグラフを搭載した5208モデルは、自動巻機構を備えた希有な超複雑タイムピースのひとつとしての地位も確立しています。キャリバー R CH 27 PS QIがすべての機能を正確、確実、完璧に実行するために、マニュファクチュール技術陣は、とりわけミニット・リピーターを搭載した基本キャリバーと永久カレンダー・モジュールの間にクロノグラフ機構を配置するという技術革新を行う必要がありましたが、これはきわめて複雑な課題であることが明らかとなりました。2017年、このトリプル・コンプリケーションのチタン仕様によるユニークピース・バージョン(5208T-010)はチャリティーオークション・オンリーウォッチに出品され、620万スイスフランで落札されました。
パテック フィリップは、このグランド・コンプリケーションに新しい追加機能を統合することにより、偉大な時計製作技術の限界をさらに押し広げることにしました。その追加機能とは、ミニット・リピーター、トゥールビヨンと並んで最も製作が困難なコンプリケーションのトリオに数えられる他に類を見ない機構、スプリット秒針クロノグラフです。第2のセンター・クロノグラフ秒針を制御するには、きわめて洗練されたシステムが必要です。この第2のクロノグラフ秒針は、中間タイムを測定する(または参照タイムを保持する)ために停止させることができ、次に一瞬で第1の秒針に《追いつかせる》ことができます。その後重なった2つの秒針は同一速度で回転し続けます。こうして高級時計製作の愛好家のための新しい自動巻 5308モデルには、それぞれが卓越したグランド・コンプリケーションと見なされているミニット・リピーター、瞬時日送り式永久カレンダー、スプリット秒針クロノグラフの3つの機能を含む4つの機能が統合されているのです。小型化と微細な構成部品が受ける力の制御という真の技術的壮挙の成果であるこのモデルは、2024年に強化された計時精度(日差-1~+2秒)を含むパテック フィリップ・シールすべての認定規準に準拠し、とりわけ長い軸で保持された4本の同軸のセンター指針など、きわめて複雑で高密度な構造によって際立っています。
とりわけエネルギーを消費するスプリット秒針機構を基本キャリバーとクロノグラフ・モジュールの間に追加することは、マニュファクチュール技術陣にとって真のチャレンジでした。新しいムーブメントには、厚さの増加を最小限とし、可能な限りコンパクトなボリュームを保持するという仕様が定められましたが、その使命は完璧に達成されました。80個の追加構成部品(キャリバー R CH 27 PS QIの719個に対して799個)にもかかわらず、新しいキャリバー R CHR 27 PS QIは、厚さが1.93mm(10.35mmに対し12.28mm)しか増加していません。秒表示と同様のエネルギーを消費するスプリット秒針を最適な方法で統合するため、設計者はさまざまなレベルでムーブメントのパフォーマンスを向上させることを選択しました。香箱のトルクは、強化されたより厚い素材のぜんまいと、より細い香箱真により増加しました。これにより、ぜんまいの長さと巻数を変えず、同一の連続駆動可能時間(クロノグラフ非作動時に最小38時間、最大48時間)を保持することが可能になりました。スプリット秒針機構を作動させるために必要な香箱トルクの増加は、連鎖的に《振り当たり》(テンプ振り角の過剰による脱進機への衝撃)の現象を回避することによって歩度のよりよい安定性を確保するため、テンプの慣性を増加させる必要性につながっています。また22金偏心マイクロローターは、プラチナ偏心マイクロローターに置き換えられました。この金属は比重が大きいため、新しい香箱を支障なく巻き上げるためのパワーを確保することができました。
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