セイコー プレザージュは、有田焼の新たな魅力を引き出した文字盤を持つ「クラシックシリーズ クラフツマンシップ 有田焼『無釉』ダイヤル 限定モデル」を発表した。これまでにもセイコー プレザージュには、有田焼を文字盤に用いたモデルがラインナップされてきた。それらは、一般的な有田焼の磁器と同様に、焼くことでガラス質に変化する釉薬をかけて仕上げたものであった。これに対し、本作の文字盤は釉薬をかけない「無釉(むゆう)」の仕上げが採用されている。
無釉の仕上げは、佐賀県窯業(ようぎょう)技術開発センターが開発した機能性陶土を用いることで実現したもので、近年、デザイン性の高い新たな表現方法として確立された経緯がある。その特徴は、有田焼の素材である陶石本来のマットで温かみのある風合いを備える点と、釉薬をかけることで埋まってしまう造形のディティールをそのまま表現可能な点である。
本作ではこの特徴を生かし、古来より縁起が良いとされる吉祥文様であり、子孫繁栄や無病息災への願いが込められた菱形文様を現代的にアレンジしたパターンを文字盤に与えている。無釉の仕上げによって稜線のエッジが立っており、文字盤に光が射し込んだ時の陰影が表情となって立体感を生み出している。
無釉の仕上げによって、陶石本来のマットで温かみのある風合いとなり、パターンの凹凸の深さの差や、稜線の鋭さが表現されており、そこから生まれる陰影のグラデーションの魅力が引き出されている。
本作の無釉仕上げの文字盤は、佐賀県の有田町に窯を構える創業190年以上の老舗「しん窯」に所属の陶工の橋口博之が監修し、その技術を継承する川口敏明と有田の職人たちの見識、技術が融合して仕上げられたものである。
このほか、長年に渡って有田焼を文字盤に用いてきたセイコーの技術が注がれており、従来の4倍以上の強度を持つ磁器素材を用いるほか、高精度な石膏型による鋳込み工程や、1300℃での高温焼成など、難易度の高いプロセスを経て製作されている。